暗黒ホテル第02話「相方のチンピラ君」

専務に新しい人を用意するといわれて来た人は、
調理師免許は持っているけど、これまでろくに労働経験すらないチンピラみたいな人でした。

歳は28歳。話を聞くと、高校を中退後、色々なアルバイトを転々として
魚屋に2ヶ月いたので包丁さばきには自信があると言ってました。

調理師免許は最近とったそうです。


専務は、どういう神経でこんな人を連れてくるのかと思いました。

実務経験だけで言うのなら、数年・・・マルチタスクとはいえ
私はホテルや旅館勤務してお客さんに料理を出していました。

・・・半端物ですが、まだ私にやらせた方が幾分マシにも感じました。

すぐに外して他の人にしてくれとお願いしました。

しかし、もう開始時期まで期間がないため、それはできないと断られました。


一方で本社では社長に、4ヶ月以内で経常利益を1000万円出して欲しいといわれました。

ちょっと気になったので、施設のキャパシティで概算を計算しました。
客数最大49人の施設です。

4か月なのでおおよそ120日なので、仮に満室なら2000万円オーバーは確かに行きます。

けれど、満室にできる保証がないのと、部屋が価格の違う和室と洋室があります。
一人の客単価設定が難しく、この段階では見通しが全くつきません。

 
そもそもとして、どれだけのお客さんが前年度入ってきているのかもわからない状態です。
更に経常利益とは別ですが、悪質なのが人件費です。
雪山のリゾート地なので、人の出入りが難しい上に高額です。
ゼロから始まる以上、旅行サイトの担当者と裏で根回し始めていた
段階だったので、人員を準備する期間が短すぎました。
 
だからこそのチンピラ君という地元で調理師免許持っている無職。
という恐ろしい人事なのでしょう。
そもそもとして、私は確かにホテル施設の販促はできますが、管理運営は未経験でした。
それに経理関係は一部署なら担当したことがあります。が、施設全部は未経験です。

そして、更には隣の市にある旅館の営業もやって欲しいと要請がきました。

この施設は専務のお気に入りの施設で会長が日頃入り浸るほど愛着があるそうです。

これはさすがに断りました・・・・が、旅行サイトの担当者と話をする時に便利です。

営業の肩書きだけはもらいました。

この段階で専務と社長で言うことは、対立していて指示内容に対して、
お互いの緩和がありません。

こういった上役同士の人間関係ほど手に負えないものはありません。
その時、在籍してシステム部署の人にも相談しましたが、
「きっと、元々こうするつもりで雇ったんだろうね」と言われました。
ヤケに上役が最初優しくて気持ち悪いと思っていたが、人にはやはり裏があるのです。
この段階の時点ですでに逃れられませんでした。
私は震災後の田舎から出てきただけあって、足もとを見られていました。
・・・・それでも、


それでも何も得ていないのに、ただ地元へ戻るわけにはいきません。

震災の被害も落ち着いてない中、戻っても先が見えなかったからです。

退く事はできません。退く事も考えてはいけませんでした。

チンピラ君から人を変えて欲しいという要望は通りませんでした。

そのまま自分とチンピラ君でのホテル運営は開始しました。

続きは・・・

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